2014年4月30日水曜日

新連載のはじまりと『暮しの手帖』

日本ビジネスプレスで連載し、『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)にもまとまった「食の源流探訪」がこの3月で終わり、4月から新しい連載「変わるキッチン」がはじまりました。

この連載では、調理の動作をテーマ(1回目は「切る」)に、道具の変遷をたどっていきます。そして、道具の変化が日本の食をどう変えてきたのかも浮びあがらせたいともくろんでいます。

「食の源流探訪」は毎回、定番食となった料理をひとつ取りあげ、文献をもとにその起源を探る企画で、いつも歴史をさかのぼるイメージで調べものをしていました。一方、「変わるキッチン」は、時代を下っていくことが主眼になりそうです。

「食の源流探訪」は3年ほど続けたこともあって、まずはこの図書館でこのデータ検索して、さらにあの図書館へ行き…と“調べものルート”が自然にできあがっていました。けれど、新しい連載となると、またイチから手探りです。

手はじめに、調理道具といえば『暮しの手帖』だろうなと思い、1960年代から1980年代までの約30年分を図書館でチェック。調理道具の記事をみつけてはコピー、を繰り返していたので、コピーカウンターの人からは“『暮しの手帖』の人”と認識され……

さらにそのことを電話で母に話したら、なんと「うちに何冊か残っているわよ」と言うではありませんか。両親の部屋の重厚な本棚にかつて『暮しの手帖』がずらっと並んでいたのは覚えていましたが、さすがにもうとっていないだろうと思っていました。

そんなわけで、実家の本棚に眠っていた70年代の『暮しの手帖』が急遽、我が家へやってきたのでした。



数冊積んだだけの圧迫感もさることながら、内容の充実もさすがです。『花森安治の編集室』などを読んだりして、花森安治という人のすごさは知っていたつもりですが、やはり実際に1号1号めくってみると、そのおそろしく手間ひまと頭を使ったつくりにめまいが。

よく引きあいにだされるメーカー名丸出しの「商品テスト」記事なんて、この雑誌の一面でしかない。東から西へ電車に乗って移動するなかで会った人たちとの会話で構成されているルポもあれば、社会問題を可視化したインフォグラフィックスも。斬新な企画が毎号みっちり載っていて、ついついじっくり読んでしまいそうになるのをこらえて、なんとかノルマを達成しました。

こうして『暮しの手帖』片手にスタートした「変わるキッチン」。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40526

資料置き場をどうすりゃいいの問題をみないふりして、どこまでいけるか。毎月終わり頃の更新を予定していますので、どうぞよろしくです。