日本ビジネスプレスで連載し、『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)にもまとまった「食の源流探訪」がこの3月で終わり、4月から新しい連載「変わるキッチン」がはじまりました。
この連載では、調理の動作をテーマ(1回目は「切る」)に、道具の変遷をたどっていきます。そして、道具の変化が日本の食をどう変えてきたのかも浮びあがらせたいともくろんでいます。
「食の源流探訪」は毎回、定番食となった料理をひとつ取りあげ、文献をもとにその起源を探る企画で、いつも歴史をさかのぼるイメージで調べものをしていました。一方、「変わるキッチン」は、時代を下っていくことが主眼になりそうです。
「食の源流探訪」は3年ほど続けたこともあって、まずはこの図書館でこのデータ検索して、さらにあの図書館へ行き…と“調べものルート”が自然にできあがっていました。けれど、新しい連載となると、またイチから手探りです。
手はじめに、調理道具といえば『暮しの手帖』だろうなと思い、1960年代から1980年代までの約30年分を図書館でチェック。調理道具の記事をみつけてはコピー、を繰り返していたので、コピーカウンターの人からは“『暮しの手帖』の人”と認識され……
さらにそのことを電話で母に話したら、なんと「うちに何冊か残っているわよ」と言うではありませんか。両親の部屋の重厚な本棚にかつて『暮しの手帖』がずらっと並んでいたのは覚えていましたが、さすがにもうとっていないだろうと思っていました。
そんなわけで、実家の本棚に眠っていた70年代の『暮しの手帖』が急遽、我が家へやってきたのでした。
数冊積んだだけの圧迫感もさることながら、内容の充実もさすがです。『花森安治の編集室』などを読んだりして、花森安治という人のすごさは知っていたつもりですが、やはり実際に1号1号めくってみると、そのおそろしく手間ひまと頭を使ったつくりにめまいが。
よく引きあいにだされるメーカー名丸出しの「商品テスト」記事なんて、この雑誌の一面でしかない。東から西へ電車に乗って移動するなかで会った人たちとの会話で構成されているルポもあれば、社会問題を可視化したインフォグラフィックスも。斬新な企画が毎号みっちり載っていて、ついついじっくり読んでしまいそうになるのをこらえて、なんとかノルマを達成しました。
こうして『暮しの手帖』片手にスタートした「変わるキッチン」。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40526
資料置き場をどうすりゃいいの問題をみないふりして、どこまでいけるか。毎月終わり頃の更新を予定していますので、どうぞよろしくです。
2014年4月30日水曜日
2014年3月28日金曜日
『おばあちゃん猫との静かな日々』と発売記念写真展
3月14日に発売したカメラマン・下村しのぶさんの『おばあちゃん猫との静かな日々』(宝島社)。私は編集で関わりました。
手前味噌ですが、赤い表紙が目を惹きます。思わずなでたくなるようなおばあちゃん猫・照枝さん。
デザインは葉田いづみさん。
巻末の「老猫と暮らすための知恵袋」では、主治医だったひがしやま動物病院の東山哲先生にご協力いただき、風間勇人さんに味のあるイラストを添えていただきました。
思い返せば、下村さんに出会ったのは、ライターとしてはまだまだだった10年ほど前。
いつかちゃんとお仕事をしたいと思っていましたが、昨年編集した『水引デザイン』(m90デザイン室、誠文堂新光社)に続き、こんな大切な本でご一緒できるとは思ってもみなかった。
私自身は猫を飼ったことがなく、下村さんの思いにどこまで寄り添えているか、正直自信はありませんでした。それでも、あとがきをもらったときは、込み上げてくるものがあって、しばらくぼーっとしてしまいました。だからきっと、猫好きの方はもちろん、そうでない人にもなにかしら響くものがある本になったのではないかと思います。
そして、本の発売を記念した写真展が3月25日から始まり、私は昨日行ってきました。
ぜんぶで30点ほどでしょうか。まっしろな空間に気持ちいいリズムで、いろんな照枝さんがいます。
本に載っていない写真もあります。本に載っている写真もまた、大きいプリントで見ると違う発見があります。
ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
『おばあちゃん猫との静かな日々』発売記念写真展「照枝さんのこと」
2014年3月25日(火)~31日(月)12:00~21:00 ※会期中無休
Grill Gallery(東京都江東区平野1-9-7 fukadaso102号室)
手前味噌ですが、赤い表紙が目を惹きます。思わずなでたくなるようなおばあちゃん猫・照枝さん。
デザインは葉田いづみさん。
巻末の「老猫と暮らすための知恵袋」では、主治医だったひがしやま動物病院の東山哲先生にご協力いただき、風間勇人さんに味のあるイラストを添えていただきました。
思い返せば、下村さんに出会ったのは、ライターとしてはまだまだだった10年ほど前。
いつかちゃんとお仕事をしたいと思っていましたが、昨年編集した『水引デザイン』(m90デザイン室、誠文堂新光社)に続き、こんな大切な本でご一緒できるとは思ってもみなかった。
私自身は猫を飼ったことがなく、下村さんの思いにどこまで寄り添えているか、正直自信はありませんでした。それでも、あとがきをもらったときは、込み上げてくるものがあって、しばらくぼーっとしてしまいました。だからきっと、猫好きの方はもちろん、そうでない人にもなにかしら響くものがある本になったのではないかと思います。
そして、本の発売を記念した写真展が3月25日から始まり、私は昨日行ってきました。
ぜんぶで30点ほどでしょうか。まっしろな空間に気持ちいいリズムで、いろんな照枝さんがいます。
本に載っていない写真もあります。本に載っている写真もまた、大きいプリントで見ると違う発見があります。
ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
『おばあちゃん猫との静かな日々』発売記念写真展「照枝さんのこと」
2014年3月25日(火)~31日(月)12:00~21:00 ※会期中無休
Grill Gallery(東京都江東区平野1-9-7 fukadaso102号室)
2014年3月16日日曜日
OXOの縦型ピーラー買いました
ピーラーはひとつ持っているのですが、先日、新たにOXOの縦型ピーラー買いました。
で、この本の終わりのほうで、先のOXOの縦型ピーラーの話が出てくるんです。元家庭用品会社の創業者サム・ファーバーは、手に軽い関節炎を患っていた妻が、野菜の皮むきに苦労していた姿をみて、もっと握りやすいピーラーはできないものかと考えた。それがこの1990年に発売された縦型ピーラーです。
道具ってちょっとの発想で、ずいぶん違いが出るものなんだな、と実感。新じゃがの季節もやってきたことだし、これから重宝しそうです。
なぜこのピーラーを買ったかというと、『キッチンの歴史 料理道具が変えた人類の食文化』(ビー・ウィルソン著、真田 由美子訳、河出書房新社)という本を読んだからです。
この本については、共同通信でも書評を書かせてもらいましたが、包丁やオーブンなど身近な料理道具の歴史について、古今東西に目配せしながらひも解いていく大作です。
で、この本の終わりのほうで、先のOXOの縦型ピーラーの話が出てくるんです。元家庭用品会社の創業者サム・ファーバーは、手に軽い関節炎を患っていた妻が、野菜の皮むきに苦労していた姿をみて、もっと握りやすいピーラーはできないものかと考えた。それがこの1990年に発売された縦型ピーラーです。
にんじんやごぼうといった細長い野菜は、従来の横型でもむきやすいですが、じゃがいもとか丸い形のものは、やりづらいからいつも包丁を使っていました。でも、これなら、包丁にピーラーがついている、という感じで、丸い面にもフィットします。しかも、太い握り手が、安定感バツグン。
道具ってちょっとの発想で、ずいぶん違いが出るものなんだな、と実感。新じゃがの季節もやってきたことだし、これから重宝しそうです。
2014年3月6日木曜日
「出西窯の仕事」できました
島根県の民窯、出西窯によるタブロイド「出西窯の仕事 No.1」。
出西窯の黒や白、瑠璃色や飴色といった色とりどりのうつわと料理の数々。
出西生姜を使ったレシピも載っています。
『最高に美しいうつわ』(エクスナレッジ)チームが関わり、私はインタビュー記事などを担当しました。すでに配布中なので、もう展示会などでご覧になった方もいるかもしれません。
撮影の合間にいろいろつまみぐい(というよりドカ食い)しましたが、どの料理もおいしかった!
紙面を眺めていてあらためて、シンプルな出西のうつわは、食材本来の色あいを引き出す力があるなあと思います。料理のじゃまにならず、料理の底上げをしてくれるすぐれもの。
創業メンバーの多々納弘光さんがお話ししてくださったなかで、心に残ったのが「使う人が料理を盛りつけて初めて、一枚の皿がいきいきと美しくなる」。まさにその言葉どおりのうつわです。
もしみかけたら手に取ってみてください。
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